「偉いね」「バカだね」――。静岡県のかつまたファーム社長、勝亦健太さん(43)は34歳で高校教師を辞め、家業を継いで農業に転じたときの周囲の反応は大きく分けて2種類だった。正反対のようだが、どちらも「奇特な人」との意味が込められていて、違和感を覚えた。
「『偉いね』は、若いのに自己犠牲の精神があるということ。農業だって普通の仕事です。『バカだね』は、専業農家なんて成り立たないよという意味。御殿場の子どもの『なりたい職業』のトップ10に農業が出てくるようにしたい」
大学卒業後、飛龍高校三島スクールで国語を教えた。不登校の子どもたちを受け入れる学校だ。ギターのサークルで生徒を指導。おとなしかった子どもが文化祭でヒーローになる姿を見て、やりがいを感じた。だが、8年間の勤務を経て、古里の御殿場市で農業の世界に入った。
「定年まで勤め、蓄えを持って家を継ぐ流れが自然。でも、それだと、表面的な農家になってしまう。十分に人生を懸けられる仕事だと示したかった」と経緯を語る。
低温多湿の御殿場市は野菜作りが難しいとされる。県内は温暖さを生かした冬春トマトの栽培が盛んだが、あえて夏秋トマトに挑んだ。「御殿場の気候が生かせる」との狙いからだ。トマトの実の中が黒く変色する病気に悩まされもしたが、品種を変えるなどの工夫で乗り越えた。
作物を育てるだけでなく、人を育てることへの関心も失っていない。高校の教え子だった20代の男性を2人、従業員として受け入れている。また、新たに市の特産品にしようと栽培を始めた「水かけつぼみ菜」の収穫で、約10人の子育て中の母親を雇用。希望する日の好きな時間に働けるように配慮した。
「農業は人々の生活環境を守る大事な役割がある」と強調する。身近で起きた悲劇が思いを強くさせた。2010年、市内で野焼き作業中の男性3人が焼死。野焼きは、刺されると死に至ることもあるツツガムシを駆除するためだった。農家の高齢化や後継者不足などで遊休農地が増え、草刈りができずに荒れた土地も目立つ。水かけつぼみ菜を栽培する農地も元は遊休農地だった。耕作放棄地の再生に意欲を見せる。
高校教師の経験で最も役立っていることは「しゃべるスキル」だという。「農家の人は謙虚なので、語ることをあまりしてきませんでした。農業は社会に貢献する仕事だと、堂々と訴えたい」【長沢英次】
かつまた・けんた
1976年、静岡県御殿場市生まれ。御殿場西高、東洋大卒。ジャズが好きで、教師になる前はサックス奏者として活動する時期もあった。2018年に法人化した「かつまたファーム」の社長を務める。
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May 17, 2020 at 09:42AM
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「農業をなりたい職業に」 元高校教師、家業にまい進「人生懸けられる仕事」 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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