新型コロナウイルス感染拡大による打撃を受けている産業の一つが観光だ。順調に伸びるインバウンド(訪日外国人)向けの投資が、東京五輪に向けてまさに最高潮な状況だったところに、突然のコロナ禍でインバウンド需要が停止。その後の外出自粛により、あっと言う間に需要が喪失してしまった。
ここへ来て各自治体が無症状や軽症の陽性患者の滞在先として、都市部のビジネスホテルを中心に提供を要請しているため、受け入れを表明するホテルも増えている。そうしたなか、ホテルプロデューサーの龍崎翔子氏は4月下旬から「ホテルシェルター」という新しい試みを始める。これは医療従事者やスーパーの店員など不特定多数の人と会う仕事の人が、家に帰らず1週間単位で低価格でホテルに滞在できるようにするサービスだ。
また、売り上げが激減しているホテル業界を支援するため、宿泊バウチャーを「未来に泊まれる宿泊券」として販売するサービスも始めた。こちらはすでに約150のホテルが登録されている。
同様のサービスとして「あと宿」というサービスも、5月のリリースに向けて準備が進んでいる。これを手掛ける人材派遣のダイブ(東京・新宿)は観光地での求人サイトを運営している。この春の観光シーズンの人材募集がコロナ禍によって一気に無くなったため、大量の派遣スタッフが雇い止めなどの問題に直面しているという。
ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職
こうした状況を鑑み、ダイブは業界を越えて人材を融通する取り組みを始めた。提携したのは農業人材派遣のシェアグリ(東京・千代田)だ。同社は農業の人手不足を解消するため、今春も外国人技能実習生1700人を中国やベトナムから日本に招く予定だった。しかし今回のコロナ禍で海外からの人材を日本に呼ぶことが難しくなり、農家の収穫時期の人材不足が懸念されていた。
そこで両社は雇用が喪失した観光業界の人材を、農業の労働力として派遣する仕組みを共同で作ったのだ。早速、サイト開始から数日で120人の求人案件が登録され、出荷間近のレタスやキャベツといった葉物野菜の収穫作業などにどんどんマッチングが始まっている。
ダイブの担当者、河野浩之氏は「観光産業はインバウンド特需もあって、これまでの非効率で社員にとっても負荷の高い労働環境を温存したまま人員を囲い込んでいた部分があった」と指摘する。「こうした状況をきっかけに観光産業全体が他業界とも連携し、労働環境も含めたビジネス全体のオペレーションの効率化に取り組むべきだ」と語る。
日本全体としてはここ数年の全産業での深刻な人手不足が続いていた。「アフターコロナ」の社会においては有事に対応できる雇用の流動化を進めるとともに、メタワークとして複数の仕事を横断的にこなすような働き方を選択する人も増やすべきだろう。ホテルも簡易病院にいつでも転用できるような作り方も必要になるかもしれない。これからは設備も人材も多様な利用シーンに適用できるような社会全体としてのフレキシビリティーが大事になると考えられる。
[日経MJ2020年4月24日付]
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April 26, 2020 at 02:30AM
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観光業界、農業と人材シェア コロナ後に向け流動化必要 - 日本経済新聞
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