モルドバの農業転換サポート メタルプロダクツ(真室川)と石井製作所(酒田)
建築鉄骨部材メーカーのメタルプロダクツ(真室川町、渡辺進社長)と農業機械メーカーの石井製作所(酒田市、石井智久社長)が協力し、東欧・モルドバで農地を耕さずに作物を育てる不耕起栽培に対応する播種機の開発などの環境保全型農業の普及プロジェクトに取り組む。国際協力機構(JICA)の委託を受けて、事業化の可能性を探る調査は2月から始まっている。
モルドバは国土が九州よりやや狭く、人口約268万人。農業が主産業だが、土壌浸食による生産性の低下が深刻な問題となっている。そのため同国政府は、農地を耕す従来の農法から不耕起への転換を図り、環境保全につなげようとしている。ただ、急激な移行は技術的ハードルが高く、なかなか進んでいないのが実情という。
そこで政府開発援助(ODA)事業などを通じて同国と交流のあるメタルプロダクツの渡辺社長がコーディネート役となり、海外展開事業の強化を目指す両社がタッグを組み、農法転換を促す新しい播種機を開発することにした。
提案する製品は部分耕と不耕起兼用の播種機。石井製作所の製造技術と、メタルプロダクツの優れた軽量鉄骨加工技術を生かす。また山形大農学部の片平光彦教授が設計面でサポートした。小麦やトウモロコシなどの栽培を想定している。この製品で耕運・耕起回数の削減による省力化と作業時間の短縮を図り、作物残渣を土壌表面に残したまま種をまき、栽培する環境保全型の農業を広めることが可能になる。
途上国の開発ニーズと国内中小企業の技術を結び付けるJICAの「案件化調査」事業に採択された。調査期間は1年。最大3千万円の支援が受けられ、この間、設計図作りや試作機製作を行う。約2万6千世帯の中小規模農家が市場として想定され、現地パートナーとの合弁会社の設立も視野に入れている。
渡辺社長は「モルドバは日本の支援に期待しており、それに応え、事業を軌道に乗せていきたい」と意欲を見せている。
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March 16, 2020 at 06:28AM
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