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Monday, March 23, 2020

農村が社会を救う 「心の疎開先」重視を 農業ジャーナリスト 小谷あゆみ氏 - 日本農業新聞

 休校による子どものストレスが問題になっています。都会にはこういうときの居場所がないなと考えていた先週末、取材で新潟県佐渡市を訪ねました。現在、佐渡島に感染者は出ておらず、乗船客は全員検温チェックを受けます。わずか2、3秒のセンサーですが緊張の未、無事出港を許されました。

 トキと共生する佐渡の農業システムは、国連食糧農業機関(FAO)に、世界農業遺産として評価されています。島で出会った小学生5人に、休校で何しているのと尋ねると、「鬼ごっこ! 高いとこ登るー!」と力いっぱい叫んだので、思わず吹き出しそうになりました。悲壮感が全くないのです。

 給食停止や自粛により、牛乳、生花、和牛などの農産物消費拡大を国やJAが呼び掛けています。喫緊の重要性には賛同しますが、本来、農業・農村は、都市に助けを乞う社会のお荷物ではありません。都市の抱える病を、飢餓を、不安を、いつの時代も救ってきたのは農業・農村です。

 今こそ、一極集中ゆえのストレスを解消する避難場所、「心の疎開先」としての役割を示すべきではないでしょうか。農の多面的機能は、副産物ではありません。災害時にはあらゆる方法で命を救う場になるのです。

 トイレットペーパーやマスクの不足。今回浮き彫りになったのは、消費社会の脆弱(ぜいじゃく)さです。豊かなようで実は情報リテラシー(解釈力)が教育されていないために、インフォデミック(デマなど情報の感染拡大)が起こりました。

 また中国産農産物や、日本農業を支えてくれる技能実習生まで入国できなくなっています。他国に依存するリスクへの警鐘が、新型ウイルスに思えてなりません。

 新たな食料・農業・農村基本計画案に、コロナ対策が追加されることになったのは、いちるの望みです。実習生の代わりに、学生の農業実習を提案したJA全中の案には賛成ですが、労働力や援農だけでなく、長期的な「消費者教育」と捉える視点も望めないでしょうか。

 体験は人をつくります。そうして都市が、農の本当の価値に気付いたとき、国産消費をお願いする対処療法的なキャンペーンは不要になります。一体いつになれば農村は都市に頭を下げなくて済むのでしょう。

 物流革命から大交流時代へ。感染は抑えてもリスクゼロにはなりません。ならば農の存在価値を見直し、消費社会の不安を和らげる“田舎”を提供することが双方を強くするはずです。

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March 24, 2020 at 05:07AM
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